「晃くん、なゆ。お茶持って来たよー」
お盆を持ったお姉ちゃんが、器用に片手でドアを開けて来た。
「さゆ、ありがとう」
「うん。なゆ、ちゃんと解決してから帰るんだよ? 遅くなるようだったら泊まって行きな?」
「お姉ちゃんありがとー」
このおうちには私や景もよく遊びに来るから、私たちの服からお茶碗からお布団まで揃っている。
「さゆ」
ちょいちょい、とお姉ちゃんを手招くお兄ちゃん。
無防備に近づいたお姉ちゃんの頬に手を当てて、当然のようにキスをした。唇に。
あーはいはい。これ、この家では通常の光景です。



