「お姉ちゃーん、お兄ちゃんいる?」


夕飯を自宅で終えて、お姉ちゃんとお兄ちゃんの家へお邪魔した。


お兄ちゃんは司の家に婿養子に入っていて、結婚してすぐに敷地内に新宅(しんたく)を建てたんだって。


お姉ちゃんが育った元の家には今、お父さんとお母さんと私が住んでいる。


「晃くん? 書斎にいるよー」


「入ってもいい?」


「うん、大丈夫だと思うよ」


お姉ちゃんの了解をもらって、二階の端にあるお兄ちゃんの仕事部屋へ向かう。


ノックスすると、反応があった。


「お兄ちゃん、入ってもいい?」


「なゆ? どうした」


ドアを開けると、机に向いていたお兄ちゃんが、回転椅子を廻してこちらを向いて来た。


「ちょーっと相談があるんだけど、いい?」


「俺に? 景、呼ぶか?」


「ううん、お兄ちゃんに。……景のことで、話したいことがあるって言うか……」


「そうか」


部屋の真ん中には二人掛けのソファと小さな机が置かれていて、ソファに座る。


お兄ちゃんは回転椅子に座ったまま軽く足を組んだ。