「頼んだよ」
「……、うんっ」
それだけで、お兄ちゃんは景を認めた。
……景は、将来をどうするか、とか、もう決めてるんだ。由羽なんてとっくの昔に。
私、は……。
「なゆ」
お姉ちゃんの声に顔をあげると、お姉ちゃんは優しく微笑んでいた。
「私も晃くんも、仕事を決めたのは大学生になってからなんだ。高校生のときは、一緒にいるためにはどうすればいいかっていう風に考えてた。取りあえず、やりたいことが見つかったとき、学力が足りないからって理由で諦めたくないって思って、色んな学部がある国立の大学にしたの。なゆも、これからやりたいこと、たくさん出てくると思う。それを諦めなくていいように、今はひたすら勉強を頑張るっていうのもありだと思うよ」
お姉ちゃんは超能力者か。私の頭の中筒抜けだったわ。
でも、
「うん、勉強、がんばる。景、私も景に負けないくらい、景を幸せにするからね?」
「……それは俺の台詞」
景の照れた顔ってレアだ。今のうちにたーくさん見て置こう。
同じ日に生まれた従兄は、きっと私の運命の半分を持っていたんだと思う。
そして今日、十六回目の誕生日、それは一つの形を作ってくれた……。