「私も、いつからかわからないくらいずっと、景だけが特別だった。特別過ぎて、好きって名前になかなかたどりつかないくらい……。景、これからも私の特別で、いてくれる?」
私も。
「私も、景のことが大好きです」
景が、勢いよく顔をあげた。
「景、光司くんがビデオ撮ってるから指輪はめてあげたら?」
「圭一さん! 泣くの早過ぎ!」
お母さんとお父さんたちは、安定のはしゃぎよう。
そ、そういえばみんないるんだった……。
お姉ちゃんと羽咲は泣きそうになってるし……。
「なゆ、手、出して。左手」
景に言われて、左手を差し出す。
「なゆ、この可愛い手、誰にも触らせちゃダメだからね?」
「なっ……景、どうしたの……お姉ちゃんといるときのお兄ちゃんみたいだよ……」
「これでも弟ですから。なゆに触っていいのは俺だけ。俺に触っていいのも、なゆだけだから」
微苦笑とともに言う景。
勿論、景以外の男子に触られたくなんかないし、景に触っていいのが私だけってのは……ちょっと優越感。
左手。指輪をするなんて初めて。
……初めての指輪は、薬指に輝いた。



