「なゆ」 「うん?」 景の一声に、助けられた気持ちになった。よかった、景は普通だ。 「誕生日にさ、聞いてほしい話があるんだ」 「? 今じゃダメなの?」 日付を指定してする話? 「駄目、じゃないけど……まだ、準備が出来ていないって言うか……」 「そうなの?」 「そうなの。だから――準備出来るまで、待ってて」 「―――」 やたら真剣で、どこか熱のある景の目線におされて、私はこくりと肯いた。