怒りで……ではなく、比喩でもなく、ホントに目の前が赤一色になったのだ
パチパチと瞬きを繰り返し、それが何なのかわかって更に混乱した
だってこれ……
「チューリップ?」
赤いチューリップの花束が目の前に突き出されている
?マークを浮かべながら目線を上向けて、更に目を大きく見開いてしまう
なぜなら真っ赤なチューリップに負けない位、秋元の顔も真っ赤になっていたからだ
半身で片腕を突き出し、まるでフェンシングのレイピアを突きつけているような格好で、花束をこちらに向けているのもおかしい
「…課長?」
一体なんですか?と問いかけると、彼は更にこちらを睨んでくる
これは決闘でも申し込まれてるのかな?
やや明後日のことを考えながら現実逃避しようとする美季に、秋元が叫んだ
「結婚を前提に付き合ってくれ!!」
「………」
「………」
「……………はい?」
ケッコン?ツキアッテクレ??
「誰が?」
「寺内が」
「誰と?」
「っ私とだ!」
いやいや、そんなキレ気味に言われましても
花と秋元を交互に見やり、少しずつ美季の頭が動き出した



