胸を押え、呼吸を落ち着けようとするがなかなか上手くいかない
「寺内、返事を聞かせてもらえるだろうか?」
覚悟を決めたように秋元が訊ねてくる
真面目な彼は、すぐに判決が下ると思っているのか
正直彼の想いも自分の気持ちにも、たった今気づいた私は、もう少し頭を整理する時間がほしい
でも嫌だとは思っていない。流されるのでなく、ほだされてるのも確か
何より私は元から彼に好意を持っていた
そしておよそ日本人男性からは得られないだろうと諦めていた求愛の言葉を、秋元は寸分たがわず答えてくれた
誕生日プレゼントは夢に見た花言葉でのプロポーズ
それも誕生花のチューリップの花言葉なんて理想の上をいっている
これで落ちるなというほうが無理な話だ
美季は冷たくなった手ごと花束を包み込み、微笑みながら自分の騎士に告げる
「はい、よろしくお願いします」



