穴の空いた、サクラ色の貝殻を覗き込む。



「…なにやってんの」




サクラ色の間から見える青い世界に、きみがいた。





「夏目くん…」


「桜井って授業サボったりするんだね」

「…夏目くんこそ」



夏目くんはそのまま何も答えずに、私の隣に腰を下ろす。

人がひとり、入るか入らないかくらいの距離。


それだけで少しふわふわと浮き足立つ心が憎い。