「桜井、さすがに怒るよ。
何も知らないくせにそんなこと言うな」
たしかに私は、3人のこと知らないよ。
夏目くんたちの仲がどれだけ良いのかも、夏目くんがふたりのことどれだけ大切にしてるのかも、夏目くんがどれだけ傷付いているのかも、私は知らないよ。
それでも、好きな人が他の人を見ていることが、どれだけ苦しいかはわかってるよ。
私だって夏目くんの前で笑うの、苦手だよ。
ツンと目の奥が熱くなる。
心の奥がじわじわ痛んで、瞬きしたら温かい雫が頬を伝った。
「……夏目くんがあの子ばっかり見てるから、
私だってうまく笑えない」
言うつもりはなかった言葉がぽろりと零れて、きみは面食らった顔で私を見つめた。



