【短編】サクラ色の貝殻をきみにあげる




どうして、そんなに寂しそうな顔するくせに、2人と一緒にいるの。

どうして、こんなへたくそな笑い方させるような人のことが好きなの。

どうして、きみの大好きなふたりはきみの作り笑いに気付かないの。



傷ついた顔をする彼に、無性にイライラして。




どうして、どうして。



どうして、私がこんな気持ちにならなきゃいけないの。





「ばかじゃないの」


「え…」



「そんな顔するくらいなら、伝えちゃえばいいのに。奪っちゃえばいいのに。

なんでへたくそな笑顔で、ふたりのこと応援して、自分だけ全部我慢するの?」




莉奈ちゃんのことが好きだって言って。

莉奈ちゃんの隣を奪って。

それで幸せそうな顔して笑えばいいのに。


……そうしたら私だって、こんなにきみのこと考えなくてよかったのに。


だってきみの隠した気持ちに気付いてから、私の頭はいつもきみでいっぱいで。