アブナイ王子様たち

昨日の夜、叔母さんの家の寝室で聞いた、お父さんとお母さんと麻椰ちゃんの声だ。


やばい、また涙が出ちゃいそう。


そう思ったときにはすでに遅く、気づけば涙が床にこぼれ落ちていた。


涙をこぼす私の姿は誰も見ていないと思っていたのに、悟さんに見られてしまった。


「泣かないで、愛海ちゃん。


愛海ちゃんが泣いてると、俺まで泣いちゃいそうになるよ」


悟さん、やめてよ。


そんな優しい声を私にかけないで。


それ以上優しい声をかけたら、涙が止まらなくなっちゃうから。


さらに涙をこぼす私に、誰かがこの空気を破るような言葉を発した。