アブナイ王子様たち

涙がポロッと出てきそうになる。


涙が出てくる前に、ごしごしと手の甲で目をこすった。


指に涙の雫が付着したのを確認したあと、悟さんがこちらに目を向けた。


私の視界に映る悟さんは、笑顔を浮かべている。


「弟たち全員、愛海ちゃんに傷ついてほしくないから、高校に通わせたくないんだ。


愛海ちゃん、わかって。


傷つけてるわけじゃないんだ」


その言葉を聞いた直後、脳内で複数の声が聞こえてきた。


『お父さんも、愛海には傷ついてほしくないと思っているよ』


『たまには人に甘えてもいいわよ』


『愛海ちゃんには幸せになってほしいからね』