アブナイ王子様たち

「きっと紀野くんは、自分がお金持ちだったって伝えたら、私にもいじめられると思ったんじゃないかなって思うんです」


「…………」


「そう思ったら、紀野くんがかわいそうな子に思えてきました。


だって……きゃっ!」


言いたいことを言おうとしたとき、翔さんに手首を引っ張られ、引き寄せられた。


か、顔が近い!


ドキドキが止まらなくなるんですけど!


「な、なんですか?」


「紀野くん、紀野くんってうるさいんだよ。


今度から、そいつの名前出すな。


イライラするから」


イライラする……?


なんで、翔さんが紀野くんの名前を聞くだけでイライラするんだろう。


まぁ、それはともあれ、ストーカー事件は終わったんだ。


今日から、お手伝いさんとして過ごせる!


「は、離れてくださいよ!」


「嫌だ、離さない」


翔さんにいじられる日々は続きそうだな……。