☆☆☆
「ん……?」
意識が戻り、目を覚ました。
視界に飛び込んできたのは、トタンでできた屋根とコンクリートの壁。
二の腕にひんやりとした感触がして、少し寒気がする。
とりあえず、ここがどこなのかたしかめる必要がある。
さっそく起きあがろうとするが、両手がうまく動かない。
なんで?
そう思い、自分の体全体を見る。
すぐに、両手がうまく動かない理由がわかった。
背中の下で、両手を拘束されているから。
しかも、固そうなロープで、頑丈にしばられている。
これじゃあ、うまく動かない……。
誰か……誰か助けて……。
心の中でそうつぶやいた直後、近くから足音が聞こえた。
だ、誰?