アブナイ王子様たち

「かわいそうだな……」


「うしろ姿しか見えないからわかんないけど、前に座ってるあの女の子、有名なあの来栖川(くるすがわ)グループのお嬢様だろ?」


「あぁ。


お嬢様のあの女の子、まだ若いのに両親を事故で亡くして……これからどうやって生きていくのかね」


うしろから聞こえるコソコソ話で、私のことを話しているんだとすぐにわかった。


“お嬢様のあの女の子”とは、間違いなく私のことだ。


私、来栖川愛海は、この地域で有名な来栖川グループのお嬢様だった。


そう“だった”のだ。


もう、お嬢様じゃなくなったんだ。