ストーカーには言えない。


翔さんが好きだということは。


伝えたら、ストーカーはさらに暴走するだろう。


感情を爆発させて、私に対する異常な愛情をむきだしにする。


そんな姿が容易に想像できてしまう。


「怖い、怖い、怖い……」


呪文のようにそうつぶやき、手に取った手紙をベッドの上に置いたそのとき。


コンコン。


ドアをノックする音が聞こえた。


一瞬、体が大きく震えた。


まさか、ストーカーが忍び足でここまでやってきて、私の近くに来ているんじゃないか、と思ってしまう。


「ど、どうぞ」


恐怖から抜けられないせいか、声が若干震えた。


ガチャッという音と同時に、誰かが部屋の中に入ってきた。


その誰かというのは……。


「……よう」