アブナイ王子様たち

そう言うと、鋭い目つきを向けられた。


まるで、敵を威嚇する肉食獣みたいに。


「なにが大丈夫だよ、熱あるくせに。


いいから、黙って俺に抱きかかえられてろよ」


うぅっ……。


この目つき、いつ見ても怖い。


この目つきを向けられたら、黙って従うしかないよぉ……。


目を伏せ、翔さんの首に腕をまわす。


それと同時に、翔さんが歩きだした。


翔さんの髪がサラサラと揺れている。


翔さんの髪……つやつやできれいだな……。


枝毛なんてひとつもなくて、一本一本しっかりとした髪。


黒髪ではないけど、髪が傷んでいる様子はない。


翔さんの髪、触ったら気持ちいいんだろうな。


一度でもいいから、触ってみたいな……。