ここは、感謝を伝えておくことにしよう。


「あ、ありがとうございます……」


そそくさと、翔さんから離れる。


だが、体が完全に翔さんから離れる前に、翔さんに手首を掴まれた。


そして、翔さんの正面に体を向かされる。


こちらを見つめる真剣な瞳が、私をとらえて離さない。


「な、なんですか?」


なんで私を引き止めたんだろう。


ねぇ、翔さん。


私、大丈夫だよ。


フラフラするけど、動けないことはないから。


と。


サラッ。


「……っ!」


翔さんが前かがみになり、私の前髪をあげ、手で熱の有無を測りはじめた。


翔さんの手が、私の額に触れた。


な……っ、なにこのシチュエーション!


心臓がバクバクしちゃうんですけど!