今の言葉は本音だ。


こちらをじっと見つめている人の目つきと視線は、翔さんが私に向ける、鋭い目つきと視線より怖くない。


だが、本音でも、言っていい本音と言ってはいけない本音があると気づいたのは、翔さんが発した言葉が聞こえてからだった。


「……あんた、今なんつった?」


「い、いや、えーっと……」


冷や汗が額に浮かび、それが頬を流れる。


マズい。


今のは言ってはいけない本音だった。


口を片手でふさいだが、効果はない。


翔さんの目の前でそんなことをしても、効果がないことはわかっている。


でも、体が勝手に動いた。


反射神経というものだろうか。


反射神経で、口を手でふさいだのなら、仕方ないと思う。


しかし、口をふさいでいる私の手を、翔さんが無理やり引きはがした。


「なんて言ったか、言えよ」