アブナイ王子様たち

ふたりの会話を聞いても、私は黙っていた。


いまだに、テーブルに置いてある手紙の内容が、頭から離れない。


翔さんに“この女”と呼ばれても、反応することができなかった。


この手紙を書いた人にとって、私は、汚れのない天使だと思っているのだろうか。


でも、わからない。


この手紙を書いた人が、いつから私を好きでいたのかがわからない。


それよりも、気になることがある。


手紙に書いてある文章だ。


【君と接してる男たちに、『もう近づかない』って言うまで、嫌がらせをしてやる】


君……私と、接してる男たち……悟さんたち5人に、嫌がらせをする。


悟さんたち5人が、二度と私に近づかないと誓うまで。


嫌がらせ……って、どんな嫌がらせだろう。


誰かに対して、嫌がらせをしたことがないので、まったく想像がつかない。