アブナイ王子様たち

ど、どうしよう……。


いったいどうすれば、悟さんが笑顔になるのだろうか。


私がそう思っていると、悟さんが小声でボソッとつぶやいた。


「……じゃないのに」


えっ?


今、なんて言ったんだろう。


悟さんの声は、私の耳に届かなかった。


なんて言ったのかをたしかめるため、悟さんに問いかける。


「……悟さん、今、なんて言ったんですか?」


「…………」


「悟さん?」


悟さんは、私と目を合わせないまま、口をつぐんでいる。


私に言いたくないことでもあるのかな。


と思ったそのとき、悟さんの服のポケットから、スマホのバイブ音がした。


悟さんが慌ててスマホを取りだし、耳に当てる。


しばらくなにかを話したあと、悟さんは車に乗ってシートベルトをしめた。


「愛海ちゃん、早く乗って。


翔に、今すぐ戻ってこいって言われたから」


慌てた様子の悟さんを見て、悟さんの言うことを素直に聞かなきゃと思い、急いで車に乗った。