アブナイ王子様たち

あっと思ったときには、すでに遅かった。


慌てて口を片手でふさいだが、悟さんに言葉がちゃんと届いたようで……。


悟さんは笑顔を消して、表情を曇らせた。


『警戒心が薄い』


その言葉は、言ってはいけない言葉だった。


たとえそれが、本音だったとしても。


けれど、後悔しても、もう遅い。


口をふさいでいた手を離し、悟さんの顔をそっと覗き込む。


悟さんは、私が顔を覗き込んでも、まったく反応しない。


「悟さん……?」


「…………」


「もしかして、私に『警戒心が薄い』って言われたこと、気にしてますか?」


「…………」


「もしそうだったら、ごめんなさい。


悟さんの気持ちを考えずに言っちゃって……」


なんとか、悟さんの表情を笑顔に戻そうと、必死に話しかけるが、返事はない。