アブナイ王子様たち

今考えてみれば、慌てて鍵をかけた音に素早く反応するのは、普通のことなのかなと思う。


悟さんが鍵をかけた音に気づかなかったことは、めずらしいことかもしれない。


なんて思いながら、なんとなく天井を見あげていると、悟さんに突然声をかけられた。


「愛海ちゃん」


「へっ……あっ、はい!」


いきなりのことで声がうわずる。


ちょっと変な声になっちゃったかも。


けれど、悟さんは私の気持ちに気づかず、こちらに歩み寄ってくる。


「……ちょっと、ふたりだけで話そうか」


えっ。


い、いきなり?


「で、でも、会社の人たちが……」


「大丈夫だよ。


会社の人たちには、仕事に戻ってもらうよう、俺が指示するから」


「えっ……」


会社の人たちに、仕事に戻ってって言えるの?