「……はぁ。


薫が寝ちゃったみたいだし、俺たちもそろそろ帰るか」


「はい……」


「あぁ……」


翔さんの顔を見ずに返事をする私に、やる気のない返事をする匠くん。


私と匠くんの返事を聞いた翔さんは、めんどくさそうに頭をかいて、外に向かう。


私と匠くんも、翔さんについていく。


ホールをあとにし、ホテルの出入口を過ぎた、そのとき。


「……あれ?」


翔さんがピタッと足を止めて、私をじーっと見つめはじめた。


「ど、どうしたんですか……?」


見つめられるとドキドキするんですけど。


翔さんの行動を見て、匠くんも立ち止まる。


「あんた……パーティーに行く前、首に虫刺されの痕なんかあったか?」


虫刺されの痕?