アブナイ王子様たち

叔母さんは、自分の言葉で誰かが涙を流すとは思っていないだろうけど、おばさんの言葉で涙を流す人はいるんだよ。


心の中でそうつぶやく。


それと同時に叔母さんが、自分がさしていた傘を私に差しだした。


「あら、愛海ちゃん、ずぶ濡れじゃない。


ずぶ濡れのままじゃ、風邪ひいちゃうわよ」


「大丈夫ですよ、叔母さん。


私は風邪ひくほどバカじゃありませんから」


バカは風邪をひかないとは聞いたことがある。


自分は両親や家に仕えていたメイドさんに甘えてばかりだったのでバカじゃないとは言えないが、風邪をひくほどバカではないと思う。