アブナイ王子様たち

掃除機をもとあった場所に戻し、くるっとうしろを向いた直後、短い悲鳴をあげた。


「きゃっ……!」


なぜなら、私のうしろに翔さんがいたから。


ようやく声を出した私に、翔さんはなぜか安堵の表情を浮かべた。


「やっとで気づいた」


「な、なんですか、さっきから……。


ずっと私の邪魔だけをして……」


できれば、私から離れてほしいんですけど。


距離が近い……。


私と翔さんの間にできた距離は、わずか15センチ。


私の息が、翔さんの顔にぶつかりそう……。


こんなに距離が近いなら、ドクドクと脈打つ心臓の音まで翔さんに聞こえてしまいそうだ。