人間消去アプリ

「えっ……う、うん……」


沙織が真剣な表情で私を見ていたので、少しだけ目を見開いた。


それでも、歩きだした沙織の背中を追う。


沙織の足が止まったのは、手術室から数百メートル離れた休憩室だった。


ピタッと足を止めたかと思うと、急に体をこちらに向けてきて、私は半歩あとずさりした。


「理央ちゃんのおばあちゃん、死んだね」


「うん……」


「理央ちゃん、おばあちゃん、死んじゃったよ」


「そ、そうだね」


「これからどうするの?」


再び真剣な表情を向けてきた沙織。


「ど、どうするって?」


「これからも【人間消去アプリ】使うの?」