人間消去アプリ

この出来事は、喜んでもいいことなのか、悲しまなければならないことなのか。


複雑な気持ちが心に芽生えたのを感じる。


そんな私をスルーして、お母さんは静かに泣きだし、お父さんは泣きだしたお母さんに「まだ生きてることを祈ろう」とささやいた。


と、そのとき。


手術室のランプが消え、手術室から手術を担当したらしい男性医師が出てきた。


泣いていたのがまるで嘘のように、お母さんがその医師に駆け寄った。


「先生、おばあちゃんは……」


一命を取りとめたのか、それとも死んだのか。


緊迫した空気に、ごくりと唾を飲み込む。


医師が口を開いたのは、その数秒後だった。