人間消去アプリ

腕を引っ張られてから数十秒後に教室に着き、教科書とノートと筆記用具、机に入れていたものをすべてカバンに入れる。


「ねぇ、沙織。


なんで先生に一緒に病院に行ってもいいかって聞いたの?」


「理央ちゃんが使った【人間消去アプリ】の効果が本物かどうかをたしかめるためだよ」


机の中の荷物をカバンに入れながら、沙織が私に目を向けずにそう言う。


「私のおばあちゃんが心配だって言ったのは?」


「ごめん、嘘だよ。


そう言わなきゃ、先生が許してくれないだろうと思って」


おばあちゃんを心配していたのは嘘か。


本気で心配していたのかと思っていたから、嘘だとは思わなかった。