人間消去アプリ

その視線に背筋が寒くなるのを覚え、慌てて円歌に注意した。


「ちょっと円歌、声が大きいよ。


もう少し声を小さくして話してよ」


「はいはい、わかってるよ」


本当にわかっているのかどうかわからない口調で返され、円歌に疑いの目を向ける。


その様子を、私の隣を歩く沙織に見られた。


「本当にわかってるのかな、円歌ちゃん」


「さぁ……」


「円歌ちゃん、よほど【人間消去アプリ】に夢中になってるんだね。


やたらと上機嫌だし、【人間消去アプリ】のことばっかり話すし」


「みたいだね」


「いくら夢中になれるものがあっても、沙織はそんなに話さないよ」