人間消去アプリ


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5限の授業がはじまる数分前。


5限は生物で移動教室なので、筆記用具と教科書とノートを持って、すずねと円歌と沙織と一緒に授業場所に向かった。


その途中、私の前を歩く円歌が、上機嫌ですずねに話しかけていた。


「ねぇ、すずね!


私、今とってもいい気分なんだ!」


そんなこと、なんですずねに言う必要があるの?


そう思いながら、円歌のうしろをついて歩く。


「えっ……どうして?」


「じつはね……昨日【人間消去アプリ】で入力した人が、私の希望どおりに死んでくれたの!」


大きな声でそう言う円歌。


今の円歌の声はすれ違う他の生徒の耳に届き、不審者を見るような目で見られた。