「うち、あがってく?」


沙織に、奥へと続いている廊下を見せるように、体をどかす。


その直後、沙織の目がキラキラと輝いた。


「いいの?」


「もちろん。


私、ちょうどひとりだったから、さみしくて」


本当は【人間消去アプリ】のことについて考えていて、さみしいという気持ちはなかったけど。


休みの日に沙織が家まで来てくれたから、ここで沙織を突き返すわけにはいかない。


友達を突き返すのは気が引ける。


案の定、沙織は玄関に入り、はいていた靴を脱ぎはじめた。


私が心の中で思っていることには、まったく気づいていない様子だ。