人間消去アプリ

「沙織、ちょっといいかな?」


「理央ちゃん……」


沙織がこちらに目を向ける。


青アザがくっきり残った顔に、笑ってしまいそうになる。


得点板から手を離し、沙織が私がいるほうにやってきた。


沙織が私や園子、他の女子4人に囲まれたあと、口を開いたのは園子だった。


「……神宮寺さん」


「な、なに?」


「なんであんたが私たちにいじめられてるのか、わかってる?」


しばらくの間ののち、沙織が答える。


「……憂さ晴らし?」


その答えに、プッと噴きだしてしまった。


沙織が不思議そうな目で私を見る。


どうやら、私が笑う理由が理解できないみたい。