そして、沙織の姿を視界に認めた円歌は、顔を強張らせながらあとずさる。


「ただいま〜」


「沙織、昼ご飯買いにいってたんだ」


「うん!


パンを買う人たちがけっこういたから、ちょっと時間かかっちゃった」


話しかける私に、ペロッと舌を出す沙織。


そんな可愛い表情を見せられたら、強く責められないよ。


心の中でそうつぶやく私を尻目に、あとずさっていた円歌が沙織に話しかけた。


「ねぇ、沙織」


「なに?」


「あんた、【人間消去アプリ】って知ってる?」


円歌が問いかけたそのとき、沙織の表情がガラッと変わった。