人間消去アプリ

どうやら、私の嘘を信じてくれたようだ。


心の中で、ほっと胸を撫でおろす。


「あっ、そこに座ってなよ。


今、お茶持ってくるから」


カバンを机のフックにかけ、ローテーブルの近くの床を指さしながら園子にそう言うと、園子が目をキラキラさせて「いいの⁉︎」と言った。


「うん、いいよ。


せっかく来てくれたから、最低限のもてなしくらいはしないと」


「ありがとう、理央!」


なんてね。


本当はもてなしをしたくないし、あんたなんかに優しくしたくない。


心の底にある気持ちを必死で隠し、自室からキッチンに向かう。


食器棚からマグカップを取りだし、その、マグカップに緑茶を入れ、自室に戻る。