はじめて【人間消去アプリ】の存在を知ったときは恐怖を感じていたのに、今は恐怖を感じない。


私、いったいどうしちゃったんだろう。


机にサンドウィッチを置いて黙り込む私をスルーして、円歌がすずねに話しかけた。


「すずね、まだ【人間消去アプリ】使ってないの?


早くインストールして使ったほうがいいって。


絶対にスッキリするよ?」


「そうかな……?」


「そうだよ。


すずねだって、心の底から憎いと思ってる人間いるんでしょ?」


「いないよ……」


「嘘、絶対いるでしょ。


憎い人間のひとりやふたりいるでしょ」