カバンとリュックの中のケースは全部私のもの。


すずねのものになんかさせない。


ごくっと唾を飲み込み、カバンとリュックに入っているすべてのケースを取りだした。


それらをクローゼットの奥に隠す。


クローゼットの中にたくさんのお金があるなんてこと、お父さんもお母さんも知らないはず。


お父さんとお母さんは無断で私のクローゼットを開けないだろう。


大丈夫だよね。


クローゼットを閉じ、心の中で祈った。


すずねにお金の半分を取られませんように。


「……よし」


祈り終わったあと、カバンに今日必要な教科書とノートを入れる。


そこで、ふぅ、と息を吐く。