「謝ること、ですか?」

 怪訝そうに結城さんは首を傾げた。その間にも、春巻が運ばれてくる。

「ごめんなさい、実は私……お酒が飲めるんです。というか、むしろ好きです!」

 うつむきながら、一気に私はまくし立てる。

「パーティーを申し込むとき、よく確認しないままに申し込んでしまって。申し込み完了してから、お酒が苦手な人のためのパーティーだって、わかったんです。本当はその時にでも正直にお話しすれば良かったんですが……だましていたみたいで、ごめんなさい」

 私がそこで顔を上げる。でも結城さんの表情には特に大きな変化が見られない。真顔だ。

「きっと結城さんはお酒が飲めない女性を求めていたんだと思います。飲めない人って、酒飲みと一緒にいても楽しくないらしいですね……だけど、私は結城さんがいるときに好き勝手にお酒を飲もうとは思っていません。無理強いもするつもりはないです。でも、それでも結城さんが嫌と言うのなら――」

「朝井さん。ちょっと待ってください」

 私がまくし立てるのを、結城さんは制止した。冷静な声。
 ひょっとして、怒っているのかも……そんな、冷たい声。