結城さんは首を傾げて、
「ええ。小学6年生の夏休みだったでしょうか。両親がフランスへの美術ツアーを提案してくれたおかげで、実現しました。感謝しかありません」

 フランスで本物を見たいと熱望する小学6年生もすごいけれど、それを実現させてしまう両親もすごいなあ。

 きっと教育熱心な家なのだろう。
 子供の頃から真面目で何事にも熱心な結城さん。
 ちょっと変わり者な一面もあるけれど、頭が下がる思いだ。

 酢豚が出てきた頃、私は決心した。
 こんなに誠実な彼に対し、やっぱり隠し事はよくない、と。

「結城さん、私、あなたに謝らなくてはいけないことがあります!」