これは田舎出身の人間には常に付きまとう問題だと思うのだけれど。

 一般的にこの国では、比較的都市部の人間よりも、地方の人間の方が結婚が早いらしい。もちろん、都市部出身でも結婚の早い人もいるし、地方出身でも結婚が遅い人や生涯独身を貫く人だっている。あくまで、平均値の話だ。

 私の出身地は郊外の農村部。“結婚適齢期”を越えてなお独身だと、極めて生きづらい地域だ。

 子供のころから近所に住む二十歳のお姉ちゃんが、
〈結婚まだなの?〉
〈女としての価値が一番高いのは今よ〉
だなんて言葉を、家族のみならず近隣のおばさま・おばあちゃま方から挨拶のように書けられているのを間近で見てきた。
 成人式を終えたとたん、そんな風に声を掛けられるようになるのだ。
 おばさま方からすれば、“本人のためを思って”かけている親切なせりふなのかもしれない。