「いいじゃん、X大~。僕、結婚するならそれくらいの偏差値の女の子がいいなあ。ほら、ずっと僕のこと、尊敬してくれそうじゃん?」

 ああああああああああ!

 もう限界だ。
 胃液が逆流する! 頭に血が上る!
 一発この人殴ってしまいたい!

 私が右手をグーの形に握りしめたところで、私を冷静にすべく「それではお時間です~」という司会者の悠長な声が響き渡った。

――助かったな、1番よ。

 しかし冷静になって考えてみれば、それだけ彼のプライドは拗れてるってことだ。

 もしかすると、彼は学歴も勤務先も凄いけれど、本当に自分に自信があるわけではないのかもしれない。

 彼がそばに置いておきたいのは、彼から見て「劣った」人間なのだろう。(きっとその人にも、間違いなく長所があるはずだが)

 常に自分より「低い」立場の妻に、「あなた、凄いわ!」と尊敬されつづけなければ、彼は自己愛を満たせないのかもしれない。

 そう考えると、哀れな男だ。

 だからと言って、あんな女性蔑視の発言が許されようはずもない。

 まさかこんなに時代錯誤な人物がまだこの日本に残されていたとは。

 絶対の絶対にこの人にだけは投票してはいけない、ということだけはわかった。