「ふーん。じゃあ何の話すんの。一番大事なところでしょ、学歴と年収って」

 1番さんはあざ笑う。
 学歴と年収は大事かもしれないが、それを自慢要素にしている人とは交際したくないのが、女子の本音である。

 そのとき、向こうの方のブースから突然、「君、99点!!!」という5番さんの採点の叫び声が――というか、雄叫びが飛びこんできた。

 まだやってんのか~…。

 しかし1番さんの過激思想に触れた今となっては、5番さんのあの無邪気な採点がかわいらしくさえ思える。(それでも十分失礼なのだが)

「ああいう奴って、本当にクズだよね~」

 いやいやいや。

 あなた、我が身を顧みてはいかがですか?

 早く8分過ぎないだろうかとばかり祈る私。

 しかしその祈りが通じることはなく、1番さんは続けた。

「そういや、君は大学は?」

 今度は私の学歴の話か。

「私は、X大学なんで、Z大なんて足もとにも及ばないです」

 これは謙遜ではなく、事実だった。
 偏差値の面でも、就職の面でも、到底私の母校はZ大学には及ばない。
 むろん、卒業生には官僚も議員も研究者もいない。

 思いっきり馬鹿にされるかと思いきや、1番さんはむしろ喜びを顔に浮かべていた。