「へえ、すごいですね! 正直な話、婚活にこなくてもモテるんじゃないですか?」

 ちょっと皮肉交じりになってしまっただろうか?

「ま、それは認めざるをえないよね。でも僕、自分の周りにいる女はあまり好みじゃないんだ」

 またしても得意げな表情。

 その顔を見ていると、私の体中の汗腺が開く感じがする。
 それだけでなく、血液が血管を、胃液が食道を逆流するような感覚を覚える。

 あー、この人苦手!
 ナルシシスト、無理!
……という本心が顔に出ないように、私は必死で作り笑顔。

「……と、言いますと?」

 私が黙っていても1番さんは話し出すだろうし、仕方なしに続きを促す。

「Z大にいた女子学生や、僕の事務所で働く女性はみんな、男を立てるってことを知らないんだ。

 自分だって男性と同等に優秀だ、むしろ勝っていると思っているんだ。

 でも僕はそれでは日本の伝統的な“大和なでしこ”の美しさが失われてしまうと思っている。

 妻は夫を立てて、陰で支えなくちゃね。

 それが日本の伝統文化だよ。

 妻には三歩下がって夫の後をついてきてほしいね」