《2人目》
No.6
職業:メーカー(営業)
年齢:28歳
タイプの女性:思いやりのある人

 5番さんの発言にイラついてしまった私は、司会者の「それでは時間となりました~」の声に、どれほど安心したことだろう。
 早く別の場所へ行ってほしいと思ってしまった。私、性格悪いね。

 次にやってきた6番さんからは、5番さんとは真逆の第一印象を受けた。
「し、失礼しますっ」
 聞き取れるか聞き取れないか極めて微妙なボリュームであいさつをしながらブースに入ってきた6番さんは、打って変わって細身……というか、もはや骨? 大丈夫、ちゃんと食べてる? と言いたくなる体形。顔もほっそりしている。
「初めまして。朝井ひばりです。商社で事務職やってます」
 気を取り直して自己紹介。5番さんは、自己紹介する隙すら与えてくれなかった。

 私は相手の自己紹介を、交換したカードに目を落としながら、待つ。

 待つ。
 待つ。
……待つ。


 しかし、一向に、話さない。

 あれ、自己紹介ないパターンですか?
 そう思い、顔をカードから上げて、よく6番さんの口元を見る。

 私は目を疑った。
 6番さんの唇は、ずっと動いているのだ。

「……社でえいぎょ……売ったり……でも……地方で……」

 え。
 え!?
 もしかして今、彼は自己紹介をしている?!
 しゃべっていたんですか!?