地上を旅立った観覧車が再び同じ場所へ戻ってくるように、自然と私たちももう一度出会うことができれば――


 そんな風に思ったその矢先。


「ねえ、そこのお姉さん」

 背後から聞き覚えのある声。

 初めはそれが私に向けて発せられた声だと気づかなくて、無視していた。でももう一度、

「お姉さん、こんばんは。俺と飲まない?」

呼びかけられて、私のことだと気がつく。
 振り向いた先にいたのは、浩太郎――ではなく。



(この男……!)