「昔から私に教えてきたことは間違いでしたすみませんってことなの? さっきからお父さんの言っていることはそんなことばっかりだよね? 男女平等は嘘だの、女は大人になったら結婚するべきってのも嘘だの。私にどう生きろって言うのよ!!」

「違う、お前が幸せになれるなら、」

「私にとっての幸せは、私が決めることよ。……わかったもういい、こんな時代遅れの田舎、もう二度と帰らないから。結婚もしない。一生独身で自由に生きるから!!」

 捨て台詞を大声で吐き捨て、居間を飛び出す。

「ひばり、待ちなさい!」

 父の呼び止める声が背中を追いかけてきたが、全力で振り払う。

 怒りが収まらない。ぐつぐつと腹の底で胃液が煮えたぎっている。

 大道寺家に対する怒りは、急速に方向を変え、父へと向かっていた。
 そしてストレートにぶつかり、弾ける。――八つ当たり? そうかもしれない。

 自分の部屋にあった荷物を大鞄に詰め込むと、その足で私は実家を飛び出た。