修羅場はどんどんと私の目の前にまで迫りつつあった。

 半個室まであと数歩というところで、女性のきゃあきゃあ言う声がひときわ大きくなった。
 照明は落とされ薄暗く、妖しげな雰囲気で……。
 思いとどまることなく、仕切りの麻素材のカーテンを全開にした。

(やっぱりね……!)

 私の視界に飛び込んできたもの、もうわかりますよね?

「ひばり!?」

 突如開かれたカーテンに驚く陽人さん。
 その膝の上に横向きに腰掛けるサトミ。
 隣にはジュリ。
 向かいにはマヤの他に見知らぬ同い年くらいの男性1人。

「こんばんは。陽人さんお借りしますねー」

 腕を引っ張られたサトミはギロッと私をにらみ、「触らないでよ」と腕を振り払ったが、陽人さんが私についていくそぶりを見せたので案外素直に膝から降りた。