「なるほど、さすがだね! じゃあ、道川さんの持ち前の粘り強さは……?」

「ごめん、それもなんとなくなんだ。そもそも、研究者って粘り強くない人少ないから」

「結構テキトウなのね!?」

 いいこと言っているようで、意外と一般論の組み合わせで懐柔してしまっていただけなのか……。
 いや、しかし、たとえ一般論とはいえ、実際にややこしい関係の女性を言いくるめるのは高度な技なわけで。

「なんか見直しちゃったっ」
「わっ!」

 無性に抱きしめたくなって、私は浩太郎の腕に飛びついた。

「ひばりちゃん、心配させてごめんね」

 腕に抱きついたままの私の頭を浩太郎は撫でる。
 そのまま私を見上げさせた。
 浩太郎と真っすぐに目が合う。

「でも、僕のお姫様は本当に君だけだから。絶対に浮気はしない。君を悲しませたりはしないよ」

 私が実は心のどこかで求めていた言葉を、真摯に伝えた浩太郎は――