――う、運命の、恋!?

 絶対の絶対に、浩太郎の口からは出なさそうなワードに、私は慌てて浩太郎の腕から逃れる。

「ちょ、急にどうしたの!?」

 浩太郎と目が合う。

――肉食獣。

 そう、それはまるで普段の真面目で硬派な研究者のまなざしではなかった。

 狙った女性を逃さない、肉食獣のようなぎらついたまなざしが、私の瞳を射た。
 それはまるで出会ったばかりの翔馬のようで――。

「ねえ、ひばり」

 すると、浩太郎はすっとしなやかに右手を私の顎に伸ばし、そっと持ち上げた。

――顎クイ!?

 もう、何が何だか、わからなかった。
 驚きと戸惑いで?
 いや、それだけじゃない。
 頭の中が熱っぽくドロドロしていて、理性がふっとぶような、恍惚。

 私はその瞬間、間違いなく快感に身を委ねていたのだ。