朝井ひばりが、人の目ばかり気にして生きてきた薄っぺらい女としか思えない。

 化粧がうまくなったから、何?
 服選びがうまくなったから、何だって言うの?

 では、他人にどう思われるかが大事じゃないとすれば、朝井ひばりにとって大切なものは何だろう?

 帰宅し、メイクを落としながら私は考える。

 メイクを落とせば鏡の向こうにはありのままの私がいる。
 目の下のクマや細い目、薄いまばらに生えた眉毛、血色の悪い顔。

 これが本当の私の顔だ。

 化粧のうまい朝井ひばりがすっぴんになったら、もう無価値?


 いや、そんなことはないはず。

 すっぴんになれば誰も私のことを可愛いとは褒めてくれないだろう。

 だとしても、私は私を愛していたい。

 たとえ何の長所や特技がないとしても、世界に私は一人しかいないのだから。

 私はどう生きていきたいか。

 カッコいい答えはすぐには見えてこない。

 でも間違いなく言えることがある。

「もう男で泣かない女になる!」

 今から始めようと思う。

 化粧やファッションのような見た目だけの〝女磨き〟ではない、本当の意味での――つまり、内面の〝女磨き〟を。

 自分に自信を持った、凛とした大人の女性になるために。